すっかり寒い季節になってしまいましたね。
この話は悲しいので書くか迷ったのですが、大事なことに気づかせてくれた出来事だったので、記録として書こうと思います。
実は10月の末に愛犬との別れがありました。
多く生き物が人よりも寿命が短いものなので、そういう覚悟はしていたつもりでしたが、覚悟って頭の中の話であって、心というものは全く別。自分の中にありながらも自分の手中にはないものなんだなと痛感しました。
「いつかは」って思っていても、すんなりと現実を呑み込めなかったり、
「もっとこうしてあげたかった」って後悔したり。
体のぬくもりややわらかい毛並みを触った時の感覚を思い出しては「まだ覚えてる」って安心して、でもなんだか足りなくて、その足りない部分を埋めるすべがない現実に襲われたりして。
そんな風にただ感情的になる一方、私以上に辛い想いをしている人がいるというもう一つの現実が平常心をもたらして、
頭と心が割合を変えながら、自分を極端に揺さぶり続ける感じでした。
そんな悲しみの中、思い出をまとめようということになり、我が家に仲間入りしたときからこれまでの写真や動画を集めることになったんです。
家での写真
旅先での写真
お散歩中の写真などなど
多くの写真や動画が集まって、振り返ってみると、なんて豊かな時間だったんだろうと、温かく、懐かしい気持ちになりました。
でもその反面、自分自身が保有している写真や動画が少ないこと、
また、私と一緒に写っている写真や動画がほとんどなかったことが、さらに悲しみを深めました。
一緒に過ごした時間をたくさん思い出せるのに、それが見返せる形で残っていないということ。
撮ったはずの写真も、削除してしまっていて、全然残っていないということ。
私はずっと遠方に住んでいて、一緒に過ごした時間は他の家族と比べるととても少ないから、仕方がないのかなって思いつつ、転勤前は一緒に過ごした時間がたくさんあったのに…と思うと、
「どうしてもっと撮らなかったんだろう?」
「子供が生まれてから、そっちばっかりになってたんじゃないの?」
そんな風に自分を責めてしまって。
その一方で、「心の中にはちゃんといるから大丈夫」と言い聞かせる自分もいて、
両極端の自分に片手ずつ引っ張られて、ちぎれそうになる感じ。
でも、悲しいことも辛いことも、時間によって水増しされて、薄まっていきますよね。
少し冷静な時間が増えてきたころ、ふと、もっとこうしてあげたかった、もっとこうしたかった、と思ったことは、これからの人生の中でやっていけばいいんだなって素直に思ったんですよね。
私には大切な人たちがいる。
もうこの子はいないけど、この子が教えてくれたことを私が大切にして、これからは周りにいてくれる大切な人たちとやっていけばいいんだって、清々しく、そう思えたんです。
もっと一緒に過ごしたかったって思うから、これからはもっと大切な人たちに会いに行こう
周りに遠慮なんてせず、もっとたくさん接したかったって思うから、これからは自分の気持ちに素直に、人と接していこう
もっと写真を撮ればよかったって思うから、これからはもっと写真を撮ってみよう
みんなで撮った写真や動画、一緒に見たかったなって思うから、これからはみんなで見返す時間を作ろう
一緒に撮った写真は残された人の心を慰めてくれるから、自分も一緒に入って写真を撮ろう
そんな風に前を向けるようになったから、
きっと空の一番気持ちの良いところからそっと見守ってくれているよね。
そんな感じで心が軽やかになってきたある日、ふと昔思い出写真をまとめたムービーのDVDのことを思い出し、普段はあまり開けない引き出しを開けました。
いろんな人と旅行に行った時の写真や、結婚式の写真が音楽に合わせて流れるようにムービーにしたDVDたち。
ケースを順番にめくっていくと、そこに、愛犬の写真や動画をまとめたDVDがあったのです。
撮っていなかったのでも、削除してしまっていたのでもなくて、他の写真とは別のところにきちんとまとめて保存いたんです。
そしてなんで撮らなかったのだろうと後悔したツーショットも、実は夫が撮ってくれていたようで、その1枚が見つかりました。
こうして前を向いて、この時を迎えるまで、ずっと応援してくれていたんだろうとすごく感じた瞬間でした。きっと、ちゃんと前を向けたご褒美に、これを見つけさせてくれたんだよね。
一緒にすごした時間を彩ってくれて、そしてこれからの未来をどう生きていくかの道しるべになってくれて、ありがとう。