ショッピングセンターやホテルなど、施設のトイレを利用させてもらう時にいつも気になる、
『トイレをきれいに使っていただきありがとうございます』
というメッセージ。
トイレをきれいに使ってもらったのに『ありがとう』の気持ちを伝えられないのは残念だから、あらかじめ貼っているメッセージなのだろうとは思うのですが…
そうなんだろうな、思っていながらも、『先にお礼言っとくから、きれいに使ってね。』という意味にとらえてしまう私はひねくれているのでしょうか…
こんな時にいつも思い出すのが、遊び散らかした部屋で子供がおもちゃを1つ持ち上げたときに、
『わ~!お片付けしてくれるんだね!ありがとう!』と嫌味で言った時のこと。ありがとうと言ってもらった手前、やらないといけないような、逃げられないような、そんな気持ちにさせる手法。
トイレで見かけるこのメッセージも、そういう作戦なのでは?と思ってしまう。
さらに、もし『きれいに使ってね!』というメッセージを込めているのだとしたら、遠回しな表現に慣れている日本人ならともかくも、文脈のままにメッセージを受け取る文化の国の方には分かりにくいんじゃないかな~と、メッセージを見るたびに思ってしまう。きれいに使ってほしいのなら、
『みんなで使うトイレだからきれいに使おうね』
とか、もっと具体的に、
『汚してしまったらこちらのブラシでお掃除してくださいね』
とか書いておいてくれたら、わかりやすく、行動もしやすいのにな~と思ってしまうんですよね。子供に嫌味なことを言っておきながらなんですが(笑)
本当に純粋に『きれいに使ってくれてありがとう』と伝えたいのであれば、トイレという場所でベストなタイミングで伝えるのは厳しいし、やはりメッセージを貼るしかないのかな。
伝えたいことを伝えたいタイミングで正しく伝えるって、結構難しいことですよね。
そんなことを時々思いながら時が過ぎて迎えた今日、賞味期限が切れてしまった、紙パックに入った豆乳ドリンクを発見。『まだセーフ!』と祈りながら飲んだのですが、飲み終わって箱をつぶそうとしたところ、前には見られなかったメッセージが現れたのです。
飲み終わった紙パックをつぶして捨てる、という当たり前の行動で現れた『たたんでくれてありがとう』というメッセージ。しかも小さな子供でも読めるよう、全部ひらがな。なんだか感動しました。この愛と気遣いのある工夫に。
『飲んだらパックをつぶして捨ててね』とお願い文を書くこともできるところ、つぶしてくれた人に『つぶしてくれてありがとう』とメッセージを残す。しかもそれを伝えるタイミングも逃さない。ベストなタイミング。
このメッセージを受け取った人はこれからもつぶして捨てよう!って思うはずだし、それどころか、これからも言われなくても善い行いをしていこうと思うと思う。どこかで誰かが気づいてくれてるって、そう感じられるから。そうやって善行が巡っていくのだとしたら、KAGOMEは世界平和に一役買っていると思う。
人が気持ちよく受け取れる『ありがとう』を、自分がその場にいなくても、一番心に響くタイミングで伝えることを目指す心、素敵だな。私も、せめて『今、伝えたい!』と思ったタイミングを逃さず、相手に気持ちを伝えられる人になりたいなと思う細雨の春。
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